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The Last Trapper(狩人と犬、最後の旅) [日記]

もう1週間以上前になるが、映画“The Last Trapper”(邦題「狩人と犬、最後の旅」)を観た。2004年のフランス、カナダ、ドイツ、イタリア合作、ちなみに音楽はフランソワ・オゾン監督の“8人の女”の音楽を担当した、フランス人のクリシュナ・レヴィ氏。監督も同じくフランス人のニコラス・ヴァリエ氏。舞台はアラスカと北極海に面するカナダのユーコン地方で、映画はそこに暮らす1人のTrapper(罠を仕掛けて動物を捕獲して暮らす人の事)の生活を描いて行く。これもフランス映画の“Deep Blue”も観たが、人間が登場し、人間を中心として時間が進んで行くので自分はこちらの方がより映画の中に入り込んでいける気がした。

まさに必要最小限を自分と家族、そして無くてはならないパートナーである、犬ぞりを引く犬達の為に自然界から捕り、そして正常な生態系を維持する為に必要とされる動物の捕獲を行ない、その毛皮を売って生計をたてる、そのサイクルがいくつかの印象的な出来事をはさみながら紹介されていく、ただそれだけの映画。そして主人公も本当のTrapperらしい。明解なストーリーは無い。しかし100分間を圧倒的な自然の風景をバックに、飽きさせずに描いていく。率直に言ってとても良く、深く印象に残る映画だった。大事なのは主人公であるTrapperが自然の中の暮らしを本当に愛し、それだけでは無く、その暮らしに使命感を感じている、という点だと思った。何の為に今の暮らしを続けるのか、そこに“生態系を守る為”という大きな、かつ崇高とも言える目的がしっかりと存在している、その点に深い感銘を受けた。主人公が本当のTrapperであることを考えると、その言葉は多少の演出的な意図は有るかもしれないが、本音がかなりの割り合いを占めているだろうと想像する。

物質的な充足感を目標とする世界とは対極に有る世界。且つ、その目的を自覚し、自己満足だけで完結していない人生。地球をいたずらに痛めつける事のない暮らし。つまり、今の社会のいわゆる“豊かさ”の代償は、地球環境の破壊と、自然界の一部としての“人間”自身の破壊が前提になっているのだろう、という事を嫌でも考えさせられた。これ以上“新しい何か”が必要なのか、本当に分からなくなる。環境の為、未来の為、安心の為、より良い社会の為。えっ?ほんと?マーケティングの成果じゃ無いの、それ。結局は新しい金儲けのネタなんじゃ無いですか?まあ、そんなにひねくれる事も無いかもしれないが、その位斜に構えておいた方が良いのは間違い無いと思う。

映画の公式サイトには各界の著名人達が絶賛のコメントを寄せている。至極まっとうなコメントが続く中、チチ松村氏のコメントが一番誠実で正直だと思った。

蛇足ながらもう一言。当たり前だが邦題よりも原題の方が映画の内容を正確に表現している。犬好きにアピールしたくてこんな邦題になったのかな?


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