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三信ビル解体 [日記]

昭和5年に建てられた日比谷の三信ビルが解体される。

先日銀座で買い取りがあったので、立ち寄ってみるが、当然のごとく中には入れない。解体の準備が粛々と進められているようだ。自分がこのビルのことを知ったのはつい最近のこと。移動中の車内で聞いていたAMラジオでこのビルの保存運動をされている方の話を聞いてからだった。つまりそれまでは古いビルがまた解体される事はおろか、「三信ビル」の存在すら意識していなかったのだ。でも日比谷には何度も言っているし、目にはしていただろう。しかしこのビルに特別な感情は持っていなかった。自分の感覚の鈍さが少し恨めしい。一度きちんと中を見ておきたかったし、喫茶店でコーヒーも飲んでみたかった。

最近ミッドタウンや新丸ビルの話題で持ち切りだが、再開発には今まで存在していた物を撤去する作業が必ず伴う。再開発が経済を活性化させる意味があるのはもちろん理解出来るが、風景や空気感や質感を上手く残して再開発する事は出来ない物だろうか、といつも思ってしまう。「風情」という言葉は東京都心、いや、効率や高い機能性を求められる全ての場所ではいつか死語になってしまうのだろうか。このブログでも何度か書いているが、「モダンデザイン」だけが素晴らしいデザインである訳は無いし、「クラシック」や「オーセンティック」の存在がしっかりしていなければ「モダンデザイン」はただのマーケティングのネタでしかない(最近は「エコ」もかなりアヤシイと思う)。アメリカのクラシックなデザインの建物はヨーロッパの歴史にあこがれた、歴史を持たないアメリカ人が作った造り物ではあるが、歴史に敬意を払っている思想は羨ましくも思う。歴史が無いとはいえ、建国からすでに220年以上が経過し、マンハッタンには少なくとも東京よりも、古い建物、クラシックなディテールがまだ残っている。震災や戦争で何度も壊滅状態になった東京だから致し方ない面もあるとは思うが、100年前の、いや、50年前の建物が果たして今後どのくらい残っていけるのか。戦後に建てられた建物が次々と建て替えられている今、そして数十年後にまた同じ作業が繰り返されそうな予感がする。古い物が残らないという事と、大局的な思想が根付かない、という事の因果関係についても考えてしまう。


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kenta-ok

味わいのある建物でした。一階、地下などは、一見してレトロの感じがよかったのですが。
by kenta-ok (2007-05-04 11:11) 

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