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涙の再発! [音楽]

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ずっと待ってた再発!DENNIS WILSONの“PACIFIC OCEAN BLUE”。しかもレガシー・エディションとやらで、お蔵入りになっていた幻の2nd“Bambu”収録予定曲や未発表曲付きです。アナログではずっと持っていて、かなりの愛聴盤でした。ちなみにデニス氏はBEACH BOYSのメンバーで、中心人物であるブライアン氏の弟。WILSON兄弟の真ん中です。メンバーの中で唯一本物のサーファーで、バンドにサーフィンを題材にした曲を書く事を提案したのもDENNISだったのでした。バンドではドラムを担当。しかしテクニック的にはつたなかった様で、ツアーやレコーディングの際にはサポートドラマーが使われていたみたいです。

その甘いマスクとワイルドな雰囲気で人気者ではありましたが、かなりの問題児で、酒とドラッグと女に溺れる日々を繰り返し、ぼろぼろになって39歳の時に酔っぱらって船から飛び込み、海で溺死してしまいました(自殺したという説もあり)。ミュージックマガジンのアーカイブを見ていたら、1976年の亀渕昭信氏と小倉エージ氏との対談にて、「凶暴」「バカ」「マヌケ」と散々な言われよう。ましてや音楽面についての言及は全く無し。まあ、あのチャールズ・マンソンなんかともつるんでいたみたいなので、それもいた仕方なしですね。イメージ的にはキース・ムーンなんかとも重なりますが、ドラマーとしては、比べるべくも無く、と言った感じなのでしょうか。音楽評論家たちでさえ、当時はそんな評価だったのでした。しかしそんなデニス氏ですが、実は音楽面に掛けては長男のブライアン氏も認める程の才能の持ち主。その片鱗をBEACH BOYSの1968年のアルバム、“FRIENDS”に提供した2曲で開花させ、1970年の傑作、“SUNFLOWER”では4曲を提供する程になります。とくに「Forever」で聞かせるハスキーなボーカルの味わいと切なくも暖かい曲調は彼の特徴が最大限に生かされた楽曲だと思います。そして1977年にはついにソロアルバム、“PACIFIC OCEAN BLUE”を発表するのでした。その後続けて2ndアルバム、“Bambu”の録音に着手し、完成間際までこぎ着けるもののお蔵入りし、その後本格的なソロ活動からは遠ざかってしまうのです。

で、この“PACIFIC OCEAN BLUE”、なんというか、西海岸らしい明るさと湿気の無さがジャケットや音のそこかしこから感じ取れるのですが、そこにデニス氏の書く綺麗なメロディーに独特のソウルフルな歌声、ロマンチックな歌詞が加わると、眩しくて切ない世界が展開して行きます。眩しすぎて、切なすぎる世界。この世界はある意味西海岸の白人にしか表現し得ないものだと思います。名声や金銭的には成功した物の、人間的には決して上手く振る舞えなかった人だからこその切なさなのでしょうか。でも、なんとかうまくやろうともがいては、結局失敗して、逆に大切な人たちが離れていってしまう、そんなどうしようもなさから生まれてくる表現だからこそ、人の胸を打つのかもしれません。デニス氏の人生を想い、その人生から滲み出た音を聴くと、リアルな振りをした飾り物の表現がとても陳腐に聞こえてくる、そんな気がしてなりません。今やヘルシーになって毎日ジョギングを欠かさず、還暦を過ぎたというのに腹のたるみも全くない大物ロッカー、実は世渡り上手なんじゃない?なんて思ったりもして。

とにかく、ペットサウンズ以降のBEACH BOYSが好きな方で、まだこのアルバムを未聴の方がおられたら、是非一度耳にされる事をお進めします。本当に良いアルバムです。今日は雨でお客様も少なかったので、じっくり店で流してしまいました。もう、たまりません。
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