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初冬の夕焼け空、そしてMARIA RITAのアルバム [音楽]

初冬の夕焼け空、夏の夕焼け空とはまたひと味違って、独特な切なさがあるように感じます。とある地方都市からさらに少し奥に入った路上にて。電線の直線的なラインもまた、切なさを加速させてるのでしょうか。

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切なさ、というか、胸がきゅっと締め付けられる様な感覚、結構好きなんですよね。カーネーションの直枝氏も「おれの基準は切なさ」なんて歌ってました。なんかわかります。だから前にも書きましたが、冬は曇り空の日が好き。寒さに肩をすくめながら早足で枯れ葉の舞う街路樹の下を歩く感覚がいい。この感覚、ポルトガル語でいうところの“SAUDADE(サウダージ)”に近い感覚なんでしょうか。ブラジル音楽には欠かせないキーワードです。というわけで、最近聴いてグッと来た一枚です。

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季節感はまるでありませんが、Maria Rita(マリア・ヒタ)の“Samba Meu”、日本語に訳すと、“私のサンバ”。リリースは2007年の10月です。Maria Ritaはブラジルのシンガーで、ピアニスト、作曲家、アレンジャーであるCESAR CAMARGO MARIANOと、あのブラジルを代表する女性シンガー、ELIS REGINAの娘。過去に2枚のアルバムを発表しており、この“Samba Meu”が3枚目のアルバムとなります。1枚目、2枚目は未聴ですが評価はかなり高い様ですね。そんなMaria Ritaが本格的なサンバを歌ったのがこのアルバムです。ブラジル音楽と言うと日本ではボサノヴァが人気で、また「おしゃれ」な音楽の代名詞的なイメージですが、そんなボサノヴァもサンバの一つの発展型、として見る事が出来ると思います。しか〜し、今やボサノヴァは耳心地の良いBGM的な認知度が高く、ブラジル音楽自体、どこかおしゃれ感を出すアイテムの一つとしてとらえられている様な気がしてしまいます。そこには所謂“グルーヴィー”さを一つの価値観として掲げる音楽の聞き方が流行した90年代以降の価値観が大きく反映されている事は間違いないでしょうね。でも個人的には違和感を感じてしまいます。もちろんそういった捉え方で音楽を聴くのも一つの方法論ではあると思いますが、それだけに偏ってしまうと、そういった音楽の聞き方を提唱されていた人たちがある種の音楽の聞き方を批判していた、その批判の対象と変わらなくなってしまう様な気がします。「おしゃれな」という形容詞だけでかたずけてしまう事で、見えなくなってしまう物が色々とあるのではないかと。それはもちろん家具やインテリアに関しても、共通していえる事だと思っています。

で、このアルバム、何がすばらしいって、やはりMaria Ritaの歌声!!まずはこの歌声の魅力が圧倒的です。比較的シンプルな編成の演奏にのせて、オーソドックスなサンバを奇をてらう事無く、歌の魅力を中心にして歌い上げて行きます。男性ボーカルでは故Jeff Buckley氏の歌声が個人的な「最高」ですが、女性ボーカルではこの人、と言っても良い、それほどの魅力的な歌声の持ち主です。このアルバムを聴くと、サンバがブラジルの人たちの生活にしっかりと根ざし、愛され、歌い継がれている音楽である事をひしひしと感じます。派手さはありませんが、本当に良いアルバムだと思います。

日本人の良い所の一つとして、世界中の様々な国、地域の文化を受け入れる事の出来る感性をあげる事が出来ると思いますが、どうせなら表面的な部分だけでなく、やはりその背景までも含めた部分まで味わう探究心、好奇心は忘れぬようにしていたい、と思います。
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コメント 6

あまの

こんにちは。
キンとした寒さは一瞬なら好きです(笑)
寒がりで動けなくなってしまうもので。。。
ここ数年、まったくもってボサノヴァが聞けないのです。
案外気持ちに余裕がないと聞けない音楽なんだなって感じてます。
というより同じように「違和感」を感じているのかもしれませんが。
BGMはいらない。
必要な音楽しか聞けない今、聞けるCDが減ってます。。。
Maria Rita、機会があれば聞いてみます。
by あまの (2008-11-18 17:13) 

hara_taka

あまのさん、こんばんは。 確かに、冬は天気のいい日が多い関東地方に住んでいるから、こんな呑気な事がいえるのかもしれませんね。毎日曇りで寒い日だとちょっと滅入るかもです。わたくしもBGM的に音楽を聴く事は実は減っています。きちんと向き合える音楽を無性に聴きたくなる感じですね。おそらく、そんな音楽をきちんと紹介してくれるメディアがなかなか無い事が一番大きな問題なんでしょうね。
ちなみに今日Maria Ritaの2枚目が手元に届きました。これも良いアルバムですが、個人的には、やはり3枚目の方が好きです。iTunesでも試聴できますので、さわりだけでも聴いてみて下さい。もしフルで聴く機会がありましたら、感想などもお聞かせ下さいね
by hara_taka (2008-11-18 22:42) 

あまの

彼女この記事が書かれた1週間前に日本公演があったんですね!
CDフルには聞いていないんですがユーチューブで見ました。
ああ「おしゃれな・・」とは全く違いますね。体の中から歌ってる。
少し低音な声がすてきです。気持ちがいい。
ん、CD購入ですかね、これは^^
>音楽をきちんと紹介してくれるメディアがなかなか無い事が一番大きな問>題なんでしょうね。
音楽傾向が合うかどうかわからないんですが、NHKFM土曜朝7:15~9:00の「ウイークエンド サンシャイン」という番組いいですよ。ピーター・バラカンさんなんですがこの方昔から好きです。ロンドン生まれでもう日本が長く奥様は日本人。音楽への考え方がすきなんです。
仕入れのお供に愛車で聞いてみてください。
その後の「世界の快適音楽セレクション」もなかなかです。
・あまの・

by あまの (2008-12-13 09:52) 

hara_taka

そうだったみたいですね!行きたかった…
ブラジル音楽フリークの友人いわく、ブラジルのアーティストのライブにはブラジルの人たちもたくさん来るみたいなのですが、楽しみ方がハンパではないとの事。きっとブラジル音楽の本質はその雰囲気を体感する事でよりいっそう深く理解できる様な気がします。

ピーター・バラカン氏、もちろん知ってますよ!!「ポッパーズMTV」世代ですから(笑)。AMですが、TBSの「ストリーム」という番組は佐々木敦氏、萩原健太氏、ピーター・バラカン氏などが良い音楽を紹介してくれます。民放のFMよりもAMラジオの方が良い音楽をきちんと紹介してくれるという現状、何なんでしょうね。最近のJ-WAVEなんて、エコとかロハスとかうるさすぎて酷いもんです。

NHK FMをもっとチェックしてみますね!
by hara_taka (2008-12-16 13:14) 

あまの

CD聞きました!
今、手放せない一枚になってます。
深みと甘みのある声。一日の中でいつ聞いてもいい。
アルバム一枚どれ聞いてもどこ聞いてもいい。
彼女の『声』のせいだと思います。出会えてよかった。
ありがとうございました。
これ聞く前は初めて買ったキャロルキングの来日記念盤にはまってました。コンサート行ったのですがとてもしあわせな時間でした。
そのライナーノーツを萩原健太さんが書いています。
「何も変わっていない彼女を聞ける自分でよかった」キャリアを積んできた送り手を聞き手として同じようにキャリアを積んでこれてよかったって。
そのひとの人生が聞こえてくる歌がひとのこころをとらえるのでしょうか。
好きな声、女性ボーカルの方が多いかもしれません。
by あまの (2009-01-12 04:04) 

hara_taka

聞き手としてのキャリア、あまり意識していた事はありませんでしたが、やはり送り手と受け手の両方がいて始めて文化は成立する訳ですから、受け手のレベルが高くないと、レベルの高い送り手も存在しなくなるという事ですよね。
いずれにせよ、命がけで人生を懸けた表現のみが人の心を打つのでしょうね。
by hara_taka (2009-01-19 22:58) 

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