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削ぎ落としすぎない [音楽]

インテリアの話だけでは無いけど、色々な要素を削ぎ落として行く事でそれなりに格好が付いたように見る事は良くある。同じトーンの色味や素材感で統一すれば、とりあえずそれなりに見えてくる。しかし、個人的にはそんな感じはあまり好きではない。一つの家具屋さんでまとめました的な感じは、ショールームみたいでどこか物足りない。それよりも楽しく、また難しいのは、削ぎ落としすぎず、様々な要素を取り入れて、上手くまとめあげる事。

そんな視点と関係あるかどうかは判らないが、最近気に入ってよく聞いているのはこの1枚。

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BEIRUTの“The Flying Club Cup”。2007年リリースの2ndアルバム。BEIRUTは、1986年生まれの若きアメリカ人、Zach Condonくんのソロプロジェクトで、2006年に“Gulag Orkestar”でイギリス4ADレーベル(!)からデビュー。デビュー当時は弱冠20歳という事に驚き。音楽性はと言うと、ヨーロッパの香りが強い。“東欧”、“バルカン・ブラス”、“ジプシー”と言ったキーワードの音楽の要素を取り入れ、ロック的な構成とは全く違う楽器構成をバックに、これもロック的な発声方法とは違う、どちらかと言うとオペラ歌手の様な発声で歌い上げて行く。東欧移民の子孫なのかと思ったが、そうではないようだ(祖父はJazzギタリストのEddie Condonとの事)。あくまでもZach Condonくんの頭の中の、空想のヨーロッパらしい。アメリカで若者が東欧的な音楽を追求するなんて、相当“イケてない”と見なされる行為だと思うが、自宅でこつこつとProToolsなどを駆使して作り上げたようだ。どちらかというと、普段そんなになじみの無い東欧系の音楽がこんなにもすんなりと入ってくるのは、やはり若きアメリカ人である彼を通して生まれて来た音だからなんだろうか。1stアルバムには打ち込みのリズムを使用した曲なんかもある様で、これまた興味をそそられる。いずれにしても、周囲のある程度評価の定まった価値観や文化観からぐぐっとはみ出して、彼方まで伸ばした興味のアンテナに引っかかった物を、自分にとって地に足の付いた仕方で表現している、そんな印象の、すばらしい音楽だと思う。YoutubeでもPVやLIVEなどを見る事が出来るので、興味のある方は是非。

色々な国の物や情報が高速移動でやってくるし、各々独自の文化を持った様々な国籍の人たちが身近に存在している。削ぎ落として狭い範囲で生きて行くのではなく、多様な文化を受け入れる懐の広さと、その中から上手く編集してまとめて行く能力。今後はもっとそれを身につけて行きたいと思う。日本には、ありがたい事に身近に様々な時代の、様々な国の物が転がっていたりするのだから。
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