年頭に

2007年です。新しい年です。年が明けたからといって何かがすぐに変わる事は無いのですが、やはり気持ちを新たにスタートを切る、というきっかけになります。写真は年末に訪れた日本海に近いとある町で出会った空。どんな狙った人工的な美もこんな空を見た時の心の震えには勝てないし、何万個の電球（最近は発光ダイオードか）を使用したイルミネーションも満天の星空や人々の生活が感じられる夜景を見て覚える切なさには、やはり勝てません。

昨年の暮れに将棋の羽生善治氏の、「経験に裏打ちされた直感」という言葉にひどく反応し、これは実は非常に大切な感覚ではないか、と考えたりしていました。頭のいい人はいくらでも言葉を並べて、何かを正当化する事が出来るものです。それだけに「理屈」が優先すると、実は間違える危険性が強いのではと。正解している空気がその時の世の中を覆ってはいても、その結果が出るのは実は数年後、さらには数十年後という事はざらなはずです。仕事でもプライベートでも毎日が決断、判断の連続な訳ですが、自分にとってはその判断基準は、「経験に裏打ちされた直感」を大切にしたいと思います。そして自分の下した判断に対する「検証」は忘れずに。短略的ではなかったか、感情に流されてはいなかったか、結果的にどうなったのか。そうして日々の決断がどうだったのかを自分で確かめていく、それこそが経験として積み重ねられていくのではないかと思います。そしてその経験に基づいた直感を大切にしていく、そんな感覚をさらに研ぎ澄ませていけたら、と思うのです。そんな自分の経験から考えると、もはや「新しい」だけものは警戒すべき物、という感覚に近くなっています。

そして今年は新しいスタッフ、新しい仲間と新しい事も始めながら、ただ商売して生きるのではない、それ以上の何かを古い物で商売する事でもっと追求していけたらな、と思います。今年も皆様、宜しくお願い致します。　

古道具Let'Em In 代表　原　尊之