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思想の転換 [日記]

今年の夏は幾つかの小さな思想の転換があった。

・夏がそれほど嫌いではなくなった。
元来汗っかきの自分は、もちろん倉庫や仕入れ先では汗だらだらなのであるが、暑い時には暑いなりにショートパンツはいてサンダルつっかけて、汗かいたら着替えて、臭くならない様に銀イオンのスプレーをすればそれほど不快ではなかった。強い日差しの下をゆるい格好でたらたら歩く、その心地よさを感じたりしていた夏だった。もちろんうんざりする程の日も有ったが。でもこの年になって、また夏の事を見直す様になるとは。

・TSUTAYAでCDを借りる様になった。
立川には割と大きなTSUTAYAがある。今までDVDはよく借りていた。CDもたまに借りていたのだが、MDに落したり、CD-ROMに焼いたりしてもどうもあまり聞く気にならなかった。真っ白いパッケージにいかにもな「借りました感」と距離を感じてしまっていたから。実際それらの音はほとんどCDデッキやMDデッキには挿入されていない。ところが、アンプの調子が悪くなってしまい、仕方なく、とりあえずMacで音楽を聴く習慣が出来た今年の夏は、借りてきたCDをiTunesに取り込んでアートワークも入れる事で、ダウンロードして購入するのと変わらない状況になる事に気付いた。そうすると、借りてきたCDアルバム達を不思議とよく聞く様になるのだった。なんとなく、中学生の頃なけなしの小遣いで買ったLPレコード(ポリスのSynchronicityとか)をカセットテープに録音して、無音部分を自動的に飛ばしてくれるオートリバースのデッキで、バカみたいに繰り返し繰り返しずっと聞いていた事なんかを思い出した。だってLPには絶対に指紋なんか付けちゃだめだって言われてたから。LPをジャケットから取り出すのはとっても神経を使う作業だと感じていたのだ。「ジャケットが有る」ことと「気軽さ」とが思いのほか自分には重要だったようだ。同じ金額でより多くの音楽に接する事の出来るレンタルという制度、自分にとって今はかなり重要。ただし、ダウンロードして購入する習慣は当分つきそうに無いかな。でもTSUTAYAには置いてないけどiTunes Music Storeには有るマイナーなアーティストとかはありか。

・「CRAZY KEN BAND」を知った。
佐々木敦氏がTBSラジオで紹介していたシングル曲をきっかけに、とりあえずレンタルなら、と生まれて初めてきちんとアルバムで聴いた「CRAZY KEN BAND」。いわゆる「昭和歌謡」的に括られてしまっていたので何となく敬遠していたが、横山剣氏の作詞作曲能力、アルバム21曲を一気に聴かせてしまう力量、アレンジの多彩さ、根底に流れる土着性に参ってしまった。聴かず嫌いと食わず嫌いは損するね。「考えるな、感じろ!」という横山剣氏の言葉、正月の自分の日記と通じてるぞ、と思ったり。でもHMVのユーザーレビュー等を見ると、近年のアルバムは昔からのファンにはあまり評判良く無い様ですが。

・MUSIC MAGAZINEの編集長を見直した(偉そうですみません...)。
どうも現編集長の政治的意見は物事の見方が単純なのではないかとずっと思っていた(中村とうよう氏のコラムも相変わらずの熱さと勢いだけれど、最近はあまり共感出来なくなってきている)。ところが久々に購入した9月号に掲載されていた、編集長による「Point Of View」を読んでちょっと「おっ!」と思った。そのコラムは、久間前防衛庁長官のいわゆる「原爆投下しょうがない発言」に付いて書かれた物なのだが、この発言についてのマスコミ報道に感じる違和感や恐ろしさは自分と全く同じ考えだった(その他の部分については全面的に同じ考えでは無いが)。単純な「反権力」思考に陥っていない所に共感を持った。今や「権力」は実はマスコミや大企業側に有るのでは、と常々考えてしまう事の多い自分にとって、MUSIC MAGAZINEの編集長がこのように冷静にマスコミや政治家を見ている事は新しい発見だった。でもMUSIC MAGAZINE誌はやはりもう購入する機会は少ないだろう。

以上、本当にちょっとした思想の転換でした。でも思想の転換って結構大事だと思いませんか。硬直してしまう事こそが恐ろしい。それよりも色んな人達と話して、色んな本を読んで、色んな物を見聞きして、色んな所に旅して、自分が変化していく事の方が面白い。それでも変わらない物を見つけて自覚する事、変わった事が、変わっていない事が本当に自分や周囲、もっと、かなり大げさに言っちゃうと(照れるが)、地球や人類に価値が有るのかを日々自己検証する事、そんなふうに年月を重ねて行けたらな、と思います。

最後に。

前述のMUSIC MAGAZINE誌9月号「渋谷系特集」、小西康陽氏のインタビューでの発言。渋谷系以降定着した“雰囲気モノ”的価値観を否定する人も多かったのでは?という問いに対して。「でも、僕に言わせれば“雰囲気モノ”のそもそも何がいけないだって感じ。逆に、雰囲気で聴かないで何で聴くの?って聴きたいですよ。今、オヤジ・ロックみたいなものが隆盛の時代ですけど、あれだってロック的な雰囲気を聴いてるわけでしょ?」そこまで開き直られては、と思ってしまったりして。

Pizzicato Fiveの幾つかのアルバムは愛聴していたが、今では小西氏の作った音楽は結局自分の手元には1枚も残していない。「必要な音楽」とは感じられなくなってしまったからだ。そのギャップはこの発言に凝縮されている様な気がする(以前の日記で批判したIno Hidefumi氏のアルバムはまさに「雰囲気モノ」だと思う)。いつの日か小西氏のこの発言や思想を理解し、自分の思想が転換される日が来るのだろうか。それとも... 今はこの発言がまとわりついてなかなか離れない。


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tabico

こんにちは。先日ヤフオクでソファを求めましたtabicoと申します。
ブログをちょこちょこ読ませていただきました。(実は建築関係の仕事をしているのですが)古いもの、新しいものに対する見方などとても共感します。また時々訪問します。
by tabico (2007-09-17 12:37) 

hara_taka

tabicoさん、コメントありがとうございます。また、オークションの方でもありがとうございました。自分のものの見方が正しいのかどうか、実はすごく不安でもあったりするのです。だから、本を読んだり、人と話をしたり、自分と対話したりの日々です。ぜひまた寄って下さい。
by hara_taka (2007-09-20 23:43) 

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