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WAVES “ENCOUNTER” [音楽]

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久しぶりに、「これは!」と感じるアルバムに遭遇。WAVESの“ENCOUNTER”。WAVESは、Nobuhiko'Ebizo'Tanuma氏と、Kuniyuki Takahashi氏とが中心になって結成された、インプロビゼーション(即興演奏)が中心のグループ。他の参加ミュージシャン達も、クラブ・ミュージックを軸に活動してきた面々。Kuniyuki Takahashi氏のアルバムは好きで良く聴いており、このWAVESもMySpaceで試聴して、即発注してしまった。

繊細な世界観をハウス・ミュージックのフォーマットで表現して来たKuniyuki Takahashiの音世界が、即興を軸にした「バンド」による演奏で肉体性を獲得し、見事に“生もの”として、時に叙情的に、緊張感を持ち、不思議な清廉さと熱さを兼ね備えた音世界として構築されている。そして、もちろんそれはハウス・ミュージック、ダンス・ミュージックを下敷きにしたもの。参加したそれぞれのミュージシャン達のキャリアという、しっかりとした土台があってこその音の力強さ、説得力を感じる。普段ハウスなんかはちょっと、と敬遠されている方にこそ聞いて頂きたい!

ハウスミュージックと言えば、成り立ちの環境は、ゲイの黒人向けディスコだったりする訳で、普段の生活では2重の差別を受けかねないマイノリティ達が、せめて週末の夜は、と強烈に自己を解放する為のツールという側面がある。そんな音楽を、日本人であり、特に差別を受ける事もなく、自分のやりたい事をある程度は自由に出来る環境にある人間が、それを本当に「必要」としていた人々と同じレベルで感じ取ることは出来ないと思う。しかし、そのエッセンス程度は身体に入ってくるもの。それはハウスに限った話ではなく、たとえばジャズもしかり、ブルースや、レゲエ、ソウルやファンク、ヒップ・ホップ、サンバなども同じだと思う(ロックやパンクは、個人的にはちょっと違う気がする)。しかし、逆に様々なジャンルの音楽を、フラットな視点で純粋に「音楽」として楽しむ事が出来るのも、今の自分の環境ならではの聞き方。変に真の意味で共感など出来る訳のない立場の人々のスタイルをまねたり意識する事無く、自然な態度で接するというかたちで良いのだろうと思う。もちろん、人間として誰の事も差別する事無く、理解し、差別の無い世界を最低でも自分の中だけでも想像し、創造する事が必要なのは言うまでも無いと思いうが。

抑圧された物の表現がその立場にいない物達の胸をも打つというのは、ちょっと皮肉な話のような気もするが、それだけ、強い表現には強い意思が必要なのだ、という事だろう。

みうらじゅん氏の言葉に、日本人として産まれて、「不幸が無いのが最大の不幸」というフレーズがあるが、それもわかる気が。でもだからこそ世界中の様々な文化を受け入れる事の出来る、懐の深さも同時に持ち合わせているのでは、と思ったりする。

WAVESの話からはちょっと離れてしまったかな。でもとても素晴らしいアルバムだと思う。日本人による、日本人として最大限リアルで誠実な音楽表現。Kuniyuki Takahshiの創り出す音楽にはそんな事を感じるのだ。MySpaceのWAVESのページでは幾つかの楽曲の試聴も可能なので、興味のある方は是非。
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